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着物に合わせて高めに結い上げている為に露わになった薫子の細く白いうなじに悠が顔を埋める。
熱く甘い吐息とともに、悠の漆黒の髪がサラサラと薫子の首筋に降り掛かる。
こそばゆく、躰の芯が熱くなるような感覚に薫子は身を震わせた。
突然、強い風が吹き付ける。
薫子の前髪と悠の髪の毛を乱れさせ、周りの木々がざわざわと揺れ、水面に波紋が広がる。
まるで、何かの警告を示しているように感じた薫子は、夢から醒めたようにハッとした。
あっ、私達、こんなところで抱き合って……
ふたりが抱き合っているところを誰かに見られてしまうかもしれない。
「ゆ、悠。ここ、外……」
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