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小さな頃、映画監督にでもなりたかったような、そうでも無かったような、記憶がまったくもって曖昧ではあるが、父の影響からか、幼少時より映画ばかりを観ていた気がする。
気でも狂ったように様々な年代や国の映画を借りて、ご満悦の僕は、こじんまりとしたワンルームの自室に戻る。
段差のない玄関で靴を脱ぎ、一番にシャワーを浴びる。部屋着に着替え、元カノが残していった熱帯魚の水槽に餌を適当に入れ、勢いよく冷蔵庫からキンッキンに冷えた缶ビールを取り出す。
そしてワクワクしながらテレビを点け、ケースから取り出したDVDをデッキに入れ無事に再生されたことを確認し、誰ともなくたった独りで乾杯をする。
僕は一気に缶ビールの三分の一を呑み込み、「くー」と一日溜めこんだストレスを吐き出した。
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