平成☆シックスティナイン

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 日がな一日悶々としていた。今日も殴れなかった嫌味な上司だとか、またも同僚と付き合う元カノだとか、僕を軽視する後輩だとか、そんな張り裂けそうな思いがアルコールと共に身体中(からだじゅう)を駆け巡る。  されど加齢臭を香水で隠す身体(からだ)は所詮ロートルで、仕事で憔悴しきった僕は、缶ビール数本であっさりとノックアウトテンカウント。リングの上に横たわった。  ねえ、だれかテレビを消して。雑音が煩くてよく眠れやしない。ねえ、だれか。  されど誰もおらず、自ら付けっ放しのテレビを消す為、リモコンを探しそれを向けると、モニターには古くっさいビデオカメラをこちらに向ける一人の少年が映し出されていた。  なんだか見覚えのある少年だった。ブリーチし過ぎて傷んだ前髪、当時流行っていたステューシーのカットソー、似合わないボディピアス。頭のてっぺんからつま先まで、どこをどう見ても笑ってしまうくらいにこの僕である。
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