9人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
彼の部屋を訪ねた。「少し話がしたい」とわたしが真剣な面持ちで話したつもりだが、彼はぷかぷかもくもく口から鼻から、罪深い紫の煙を吐き出しながら「一緒にどう?」と誘ってきた。
真面目なスポーツマンだった彼を、こうさせてしまったのも、やはりわたしなのだ。わたしが変わっていったように、彼もまた変わった。
二人して麻の葉の煙に巻かれて、彼はわたしを病めるように抱き寄せた。無抵抗なわたし。口も訊けないほど葉っぱの煙に侵されたゼロジーの虚ろな頭で、
あゝ、ついにわたしは千明から切られるのか。
なんて、夢現な意識の中、薄っすらと理解した。
ヴィレッジヴァンガードで買った、玩具みたいなパイプの先っぽをくるくると回し、中の網に乗せた塊に火を点し、肺いっぱいにそれを吸い込んで、頭の芯を更に痺れさせ、わたしはそれを受け入れた。
最初のコメントを投稿しよう!