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「おはよう、先崎くん」
山科ストア自慢の稲荷寿司やおにぎりセットを抱えて美咲さんが現れる。次々と冷蔵ケースに並べ始める。
「あ、ども」
これが先崎くん精一杯の返事だ。口下手だし、社会常識には疎い。自称「東京の某国立大学の二年生」だが、楓は少なからず疑っている。
「先崎、しゃきっとしろ」
並べられたばかりの稲荷寿司を今日も一番に手に取って、コンちゃんがレジにやって来る。稲荷寿司ばかり買っていくので、コンちゃんと命名した。陽に焼けた、小柄でも筋肉質のコンちゃんは、声だけは女の子らしい可愛いらしさだ。服装もスーツではないのでOLとは思えないが、毎日早くに現れて、稲荷寿司と共に颯爽と去っていく。
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