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教室のドアがガラガラとゆっくり開いた。
緊張しているのか、ゆっくり開かれたドアは少し揺れていた。
「清水ミナ…です。よろしくお願いします。」
ツンとした言い方で彼女はそれ以上は話さないといったように真っ直ぐ前を向いた。
この話し方、そしてこの独特な雰囲気。間違いなかった。俺の初恋の相手。ミーナだ。
「ミーナじゃない?」
そう考えているうちに知らず知らずに声が出ていた。
クラス中のやつらが俺のことを見ている。恥ずかしい、ミーナ早く答えてくれ!と心の中で叫んだ。
「ミーナってなんですか。私の名前は清水ミナです。なぜだか分からないけれど、ミーナって言われた途端寒気がしました。やめてください。」
うそだろ。ミーナは俺のこと全く覚えてないのか?
教室中がざわめいた。男子達は笑ってるし、女子達は明らかにミーナに向けて怒りを示している。
モテる男は辛い…と今はそんなこと思っている場合じゃない。
ミーナは俺のことを全く覚えていない様子だった。
「えっと…とりあえず清水さんには席に座ってもらおうかな。うん…タイミングが悪いんだけど水谷くんの隣の席になるの。2人とも仲良くね。」
ミーナを見ると何食わぬ顔で俺の隣の席に座った。
俺の勘違いかと一瞬考えたが絶対に間違いない、清水ミナ。ミーナだ。
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