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「そ、そうですが」
「ここに俺の女をたぶらかした、天使系の男がいるって聞いたんだが――」
金髪のイケメンが店長に顔を近づける。
天使系とは? 明らかに隣の山田のことではないか。
必死で目線を山田に送る。
が、山田はパーカー男子とジャンプの熱い展開について語りだした。
その時だった。
「ちょ、ナニしてんの!?」
補充を終えた美波が、飛び出してくる。
そして金髪イケメンと店長を交互に見て顔を真っ青にする。
「……今、キスしてた?」
「してねえよ!」
「してないです」
「だって、顔、超近かった。え、まじ? あ、店長、その年で独身、ってやばいやばいやばい。リアルホモ」
「やばいのは君だ」
店長が真っ青になって詰め寄るが、その詰め寄った店長の肩を金髪イケメンが掴む。
「てめえ、俺の女に何?」
「きゃー。一矢―!」
「か、かずや?」
たっちゃんじゃないのか、と馬鹿な考えが浮かんでは消えていった。いや、かずや、だからかっちゃんか。
かっちゃんなら、甲子園に連れて行ってくれそうだ。
「いえい。うちの彼氏。格好いいでしょ?」
「とても」
眉毛が細いし睨みは怖かったが、そう答える。
するとかっちゃんは、堕天使系山田を見た。
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