21人が本棚に入れています
本棚に追加
「美波……」
「美波……。馬鹿だな。俺は15分じゃ満足できないって」
「でもキスぐらい」
「してねえよ、馬鹿。俺はお前だけだ」
「……」
なんとも茶番である。店長に53万の戦闘力があれば、この場の肉まん以外を破壊していたであろう、茶番だった。
「じゃあ、仲直りに、狩りに行く?」
「ああ、行こうぜ。お前、素材集めてないのある?」
「ないけど、あ、うちの店長がFG〇も友達申請してって」
「まじ? ID聞いとく?」
イケメンのくせに、オタクってなんだよ、死ねよ!
リア充のくせにオタクの聖域を踏み荒らしてんじゃねえよ!
爆発しろよ!
なあんて店長が思っていることは知る由もない。
「あー、俺がこいつ抱っこしたのが原因か、すまんな」
「もー。お兄ちゃんのガチムチ受! 馬鹿」
「すまんすまん。で、あいつら来るけど、どうする?」
あいつら――。
その言葉に店長は真っ青にある。
サングラス、チューインガム、だぼっとした服、無意味に剃られた剃りこむ。
こんな強そうな男の手下が、来る。
御年38歳。おっさんばかりしか客が来ないコンビニで、たまに来る女性客が癒しだった。その客が全員山田を見ていても。
同じ空間に女性が入ってきてくれたら、それだけで浄化されてきた。
なのに、だ。
どうしてこんな目に合うのだ。
最初のコメントを投稿しよう!