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エピローグ
「津田さんの兄さまと、彼氏さんって野球部なんだね、その、見た目が」
やはり山田が遅刻し、二人でレジの中で揚げ物や肉まん、おでんを補充しながら店長が言う。
「見た目ね。お兄ちゃん、仮面ライダー好きだから。仮面ライダーに憧れてスタンドマンしてるよ。怪我で禿げたりしたから剃りこみで誤魔化してるけど、めっちゃ優しいし。あ、でもライダーをカマキリの改造人間っていたら殺されるから、まじ注意」
「そ、そうなんだ」
「一矢も甲子園連れて行ってくれたんだよ」
「おおおおお! かっちゃん!」
「バスの時刻とか調べて席取ってくれて、まじイケメン」
「……ああ、連れて行ってくれたって、ああね」
俺の感動を返せと、心の中でつぶやいていた。
「でも、あれだよね。まじ堕天使最強じゃね? お兄ちゃんと一矢怖がらなかったし」
「聖戦を潜り抜けた戦士だから怖くないのかね」
「だから遅刻平気でしちゃうんだよ。店長、びしっと言っちゃいなよ」
「えー……、ああ、まあねえ」
真面目に会話にならない相手へ説教は疲れるなあ、と本音を隠しつつ表情で全開に出しながら笑う。
すると、ヘルメットをかぶったまま息を切らして山田が走ってくる。
「ほら、彼もあんなに反省して走ってきてるし」
「追われている! 悪の親玉、ファイナルウェポン、打撃系の技を無効化する、俺が聖戦で敗れた相手だ!」
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