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「お、ラスボス、めっちゃパない!」
「えー、警察? カラーボール投げる?」
「投げちゃおう、私、甲子園行ったし任せて」
「行ったって応援とかでショ」
「静かに! 俺は――俺は聖痕が疼く。俺は来たるべき第二次聖戦のために深い眠りについたと伝えてくれ」
「いや、伝説の堕天使が逃げたら誰が世界救うんだよ」
美波に突っ込まれても、彼はそそくさとスタッフルームへ逃げた。
あの彼が恐れる相手とは一体?
コンビニの自動ドアが開く。
「いらっしゃいま……」
店長の顔が強張った。
菓子折りを持ったファビラスで、清らかで美しい女性が立っている。
白い手袋、白いレースの傘、白い鍔の帽子、床まで伸びる白いスカート、
ラスボスだった。
「山田です。息子(27)がお世話になっております。こちらつまらないものですが」
「子供のバイト先に挨拶に来る親、パない……」
「お世話になっていますので、この棚からこちらの棚、すべていただくわ」
「パない。セレブな買い方だ」
コンビニには、堕天使も腐女子も、そして神様みたいな客も来る。
今日も、コンビニ、24時間、一生懸命営業中。
(終末)
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