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「やっだー。名前で呼ぶとかマジセクハラ。大丈夫。くじは私が買い占めるっしょ。あーん。Hくんと、J君、まじやばい。並びが離れてるけど恋人なのにまっじ可哀想。総受顔のmくんとか尊い顔してる。めっちゃ悟り開いてるし。あー、k君やばい、間に挟まれて喘いでる」
「……」
「あ、てんちょ、てんちょ、ネイル見てくださいよー。押しアルファベットのL君とG君のテーマカラーで塗ってもらっちゃって二人の誕生日華でデコってるんです。やばくない?」
「それでおでんとか掴めるのか、やばい」
「うっけるー。素手でおでん触るっかてーの。あーこのコンビニまじ神。だれも来ないからくじやりたい放題。『あなたのカップリングは?』ってキャッチコピーつけて台作ろうっと」
「……」
外見は、目も大きくはっきりした顔立ちで、ハキハキ、テキパキ行動しこのコンビニに通うオジサンたちからも受けがいい。愛嬌もあるし喋り方も可愛いが、話しかけてくるおじさんたちを大体受か攻にしかわけない。
多少のことは目につぶるが、問題児かといえば問題児である。
くじの設置をしている美波と、おにぎりを並べている雇われ店長(38)は、コンビニの入り口に人影を見つけ、顔を上げた。
「いらっしゃいませー」
「いっせー」
どうにかして短く言いたい店長のいらっしゃいませに、イラっとしながらも美波は入り口の影を見た。
「なんだ、堕天使じゃん。裏から入りなよ」
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