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「店長、呪文は召喚魔法は略すと本来の効き目がないと思うのだが」
「ん? 今やってるFG〇の話?」
「え、店長やってんの?」
「やってるやってる。友達いないから申請してちょ」
「あはは、ちょうウケる。いやだし」
「お前たち!」
堕天使が急に切れだした。そして額に手を当てながら悩まし気に目を伏せる。
「人はいつ死ぬか分からない。人は、俺のように優れた能力もなく、朽ちていく。だからこそ、一瞬一瞬の大事な触れ合いを、あんないい加減な挨拶で終えたらいけない。もう二度と会えないかもしれなのに」
「要するに、店長の略す挨拶まじむかつく?」
「そのような言葉では言っていない。ただ、お金を出し買いに来てくれた、死にゆく人々に失礼だと」
「……死にゆく人々の方が失礼じゃない? 買いに来てくれた人たちは堕天使みたいなフリーターじゃない、ちゃんと働いてる人たちだし」
「俺は来たるべき第二次聖戦に備えて体力を備えているのだ!」
備えている、を二回言うぐらいには動揺していたらしいが、面倒なので美波は頷く。
「まあ店長のあの空間を切り取る挨拶はなあ。ないわ」
「なっ」
「あんな呪文では、ラスボスである大魔王が入店したとき見た瞬間塵となるだろう」
「大魔王、入店すんの?」
「まあ、滅多に城から動かないだろ」
「だよね。宅配のバイクとか城に入ったらウケるけど」
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