21人が本棚に入れています
本棚に追加
今度、このコンビニも1000円以上の注文者に宅配サービスをする予定だった。漆黒の堕天使、山田はバイク、美波は単車の免許を持っているので問題ない。
「あのなー。毎日毎日、毎日毎日、365日、『ありがとうございました』『いらっしゃっませ』は言ってたらゲシュタルト崩壊するし、飽きるし、言い終わる前に入店、帰られちゃうし略すしかねえんだって」
「まじでー?」
「ふ。くだらん。そんなの世界の危機の前にごみくずのようなものだ」
「じゃあ、次入店してきた人に、誰がちゃんと最後まで言えるか競争ね。遅刻した堕天使は強勢参加だから」
「……致し方ない」
美波は高校生なので22時以降は働けない。21時には上がるのでそれまでには決着をつけたかった。
「あ、やべ。私、ペットボトルの補給してくるから、二人でちょっとイチャイチャしてて」
「イチャイチャはしないけど」
「店長サボらないか、見張っててね、堕天使」
「よかろう」
なぜかサボるとバレていることに誠に遺憾だったが、さきほどからちょくちょく煙草休憩をしているので強く言えなかった。
「フッ」
残された堕天使と店長。
時折、脳内ストーリーから飛び出てきた堕天使が、優美な笑い声をあげるので落ち着かなかった。
「……邪悪な気配がする」
「へ?」
最初のコメントを投稿しよう!