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耳を澄ますと、改造車だろうマフラーの音が大きく、排気音が明らかにリア充な車が止まった。
中からは、サングラスにパーカー、だぼっとしたB系ファッショに髭、そしてチューイングガムという絵に描いた系と、金髪に剃りこみ、お洒落な無地の黒Tシャツにダメージジーンズ。堕天使が着ている、無駄に切り刻まれたタンクトップとは雲泥の差のイケメンが下りてくる。
「く。顔面偏差値なら堕天使の方が上なのに」
「魔力も上だぞ」
「そこなんだよなあ」
二人は、車から置いた後コンビニの中を覗き何かしゃべっている。
こちらの様子を伺っているようだった。仲間にしませんか……!
思わず自分から言いに行きたい衝動に駆られる店長。
コンビニ店長ながらに、その二人にビビっているのは隠しきれなかった。
「ふん。前世の聖戦経験のない店長には、無理に戦えとは言わぬ。下がって揚げ物でも上げておけ」
「堕天使っ」
「ここはこの俺に任せろ。伊達にガブリエルと親友だったわけじゃない」
右手の聖痕を押さえながら、山田は微笑む。
そして入店してきた二人に怖気つくこともなく、ポーズを取りながら言った。
「歓迎しよう。君たちを解放するために俺は生まれてき」
「うわあああああああ」
山田の中二発言を雄叫びで隠し、言い終わる前に口を押える。
店長は驚いている二人に『ぱ、ぱっせ』といらっしゃいませを誤魔化しながら伝えた。
震えていたからではない。大事なことだから言うが、震えていたからではない。
「おい、お前が店長か」
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