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「・・・咲良?」
俺の呼び掛けに咲良は答えなかった。
それが余計に俺を刺激した。
コイツ・・・。
俺は俺のベルトをガチャガチャやっている咲良の手首を掴み、その動きを封じた。
それに咲良はビクリとした。
やっぱり・・・。
「何・・・必死に演じてんの?」
俺の言葉に咲良はクスリと笑って項垂れた。
「・・・こうでもしないと俺・・・泣きそうだから・・・」
泣きそうだから・・・。
「もう泣いてんじゃん」
俺はそう言って上体を起こし、ポロポロと泣き出した咲良の頭を優しく撫でてやった。
「誰のせいだと・・・思っているんですか・・・」
「・・・さあな」
俺は戸惑いながらも咲良を抱きしめ、小さな溜め息を吐き出した。
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