第2章 父と子

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睡魔がやってくると、俺はうっすらと意識を手放した。揺らぐような感覚に身を任せて、次に気付いたら病室のベッドにいた。 俺の手元に夏鈴の頭が転がっていて、目は閉じられていた。 繋いだ手に指輪を見つけて、俺はそこにキスがしたくなった。 夏鈴の手を引き寄せて指や甲にキスをして、それから舌で舐めてみると、やっと目覚めた彼女が涙ぐんだ。 「晴馬!!」と、小声で叫びながら抱き着かれる。 夏鈴のシャンプーの香を吸い込んで、首筋に鼻を埋めた。やっと、ホッとする。 「心臓に悪い!!」 「ごめん」 「もう・・・すっごく怖かったぁ」 「俺も・・・怖かった」 「そうだよね・・・でも、良かった・・・大したことなくてよかった」 俺達はしばらく抱きしめ合って泣いていた。 夏鈴はなぜかケーキの箱を手に持っていた。 爺さんの軽トラで送ってもらった時にふとチーズケーキとシュートケーキを買わなくちゃと思った、って言うんだ。俺が買ったやつはたぶん車の中にまだあるかな。潰れてる可能性が高い。 さすが、俺の奥さんはシックスセンスが冴えている。 「今日、晴馬が事故に遭うなんてわからなかった」とふくれっ面で言い訳した。夏鈴は悪くないのに、凄く申し訳なさそうで可愛い。
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