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今夜はここに泊ると言い張る夏鈴。
そのつもりで個室をお願いしたという。
二十歳前なのに、そういうところがしっかりしているから俺はまた夏鈴に惚れ直した。
今のところ大きな問題はなくて、エアバッグに助けられた俺はクビの痛みだけを感じていた。夏鈴が痛むところを撫でてくれると、不思議と痛みが和らぐ気がする。
夏鈴のスマホを見ると深夜だった。
リアルに鹿を轢くなんて、そんな事が自分の身に降りかかるなんて、信じられない。
全てが一瞬で、運が悪けりゃ死んでたかもしれない。
そう思ったら、震えてきやがった。
夏鈴が俺の背中を擦ってくれながら、「もう大丈夫だよ」と何度も囁いてくれる。聖母のような微笑みを向けてくれる。
「夏鈴。俺の名前呼んで」
「はるま?」
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