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「夏鈴」
「晴馬」
「夏鈴を残して、死にたくない」
口から勝手に飛び出した言葉に、また震えた。
夏鈴も、雷に打たれたような顔をして唇にキスをしてきた。
涙混じりのキスは、どちらの涙かわからないが少ししょっぱい。
心臓がドクドク脈打って苦しい。
身体が痛いのも、首を曲げると辛いのも、夏鈴の身体の感触も、キスができているのも、全部俺が死ななかったから感じられることだ。
死ななかった。
生きてる。
夏鈴とまだ生きていける。
不意に両親のこと、夏鈴の親父さんのことが頭を過った。
俺は彼らが出来ないことが、まだ出来る。
出来るうちにやりたいことが出来るんだ。
命拾いした幸運に感謝した。
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