ひと夏のーー?

10/15
前へ
/15ページ
次へ
 解放された陰茎は、ブルンと飛び出て存在を誇るように、隆々とそびえ立つ。青年はためらうことなく、うれしそうにそれをほおばった。 「うっ、はぁ……す、げぇ」  冷たいのに熱いとは、なんとも不思議な体験だ。ひんやりとした口内で、たっぷりとねぶられ転がされる陰茎が、よろこび脈打ち先走りをあふれさす。それを吸い上げられながら口で擦られ、たまらなくなった達夫は遠慮なく射精した。 「くっ、はぁあ」 「んっ、ふう」  ジュウッときつく吸い上げられて、達夫は腰を突き出した。筒内にある残滓までをもキレイに吸い取られ、淫靡な陶酔に目を閉じた達夫の脚が開かれる。 「うえっ?」  青年がまたがるものと思い込んでいた達夫は、おどろいて肘で上体を起こした。 「なんで、俺が股を開かれてんだ」 「僕があなたを抱くからですよ」 「は?」 「言ったじゃないですか。童貞のままなのが心残りだと」  サアッと達夫の血の気が引いた。 「ちょ、待て……待ってくれ」 「待てませんよ。そっちだけがいい気持ちになって、こっちが置いてけぼりだなんて殺生なことは言いませんよね」 「いや、なんつうか……ほら、ケツに入るわけねぇしよ」 「安心してください。こちらは霊体ですから、物理的なものはありません。感覚だけがあるんです」 「いや、それでもよぉ」 「ここまできて、つべこべ言うのは男らしくないですよ」     
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加