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身支度を整えた達夫は、出勤時間にはかなりはやいとわかりつつ家を出た。すこし離れたコンビニに行き、店内を物色する。さすがに花は売ってないなと缶チューハイを購入し、アパートに戻ると裏に回って、大木の根元に立った。
「心残りが俺で解消されて、よかったなぁ。兄ちゃんよぉ」
声をかけ、プルタブを開けて缶チューハイを半分、根元に注いだ。乾杯のしぐさをして、残りの半分を飲み干す。
「じゃあな、兄ちゃん。あの世でヨロシクやってろよ。俺とは違ったタイプだが、男前なんだから相手はすぐに見つかるだろうさ」
ひらりと片手を上げて背を向けた達夫の肩に、ひらりと木の葉が触れて落ちた。
-fin-
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