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「聞いてるの?」
苛立たしげに言う一美に
「ああ……聞いて……るけど。」
たとたどしく返す結人。
窓の外のグランドからはサッカー部の練習する声が教室の中まで響いてくる。
「私はね、常に一番じゃなきゃ嫌なのよ。この美貌も学業も全てが一番でなきゃ嫌なの。」
「ああ……」
「それがよ唯一、秋川にとって私は二番目の女でしかないの。」
「ああ……」
窓際に座っていた牧野一美はスッと立ち上がると平岩結人が座る中央の列の後ろの席までやって来た。
そして、その机に腰を掛けスラリと伸びた長い脚をスッと組むとまた話は続けられた。
「確かに秋川は私の体を求める代わり私にとってメリットのある情報をくれるわ。」
結人は計算高い牧野一美ならあり得る話だなと思いながらも出来る限り抑揚のない声で相槌を打った。
「そうなんだ。」
「そうよ。簡単に一番なんてそう取れるものじゃないわ。努力と多少のリスクが必要なのよ。」
平岩結人は自身が座る机に腰掛け短いスカートの裾から覗かせた牧野一美の細く白い脚に目がどうしても行くことを本人に悟られやしないかと、
さっき机の引き出しの奥から取り出した手元のスマホに何を見るでもなく目線を落とした。
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