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結人がそうやって溜め息を漏らしている間も牧野一美は一次不等式をスラスラ解いていく。
「オッケイ、席に戻って。君にこの問題は少し簡単過ぎたようだ。」
ニコリともせず秋川は言うと、
ーーーーご褒美あげなきゃね
黒板に向かって聞き取れないくらいの声で呟くのだ。
一美には必ず聞こえているだろうと確信しながらもそのまま表情を変えることなく秋川は黒板に赤を書き込んでゆく。
一美が解いた一次不等式はどれも合っていた。
一美はもちろんデキル生徒の余裕の笑みを浮かべまた自分の席へ戻って行く。
ただ必要以上にその手は固く握りしめられ平岩結人はその事実を認めると、また回りに気付かれぬ様、口だけを動かした。
ーーーマジかよ
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