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ーーーやっべスマホ忘れてきた
昇降口で気付いた平岩結人はもう一度教室へ向かう為、急いで階段をかけ上がる。
教室のドアを勢い良くガラリと開けると
牧野一美が窓際の机に一人で座っていた。
「えっと……スマホはっと……」
何て事を口にしながら敢えて牧野一美の存在を結人はスルーすることにした。
出来ることなら関わりたくないと願いながら。
結人の通う高校では携帯電話と言った類いのものは学内に持ち込んではいけないことになっている。
朝、ホームルーム前にこっそりメールチェックをしていた時、担任が入ってきたため慌てて机の引き出し奥に突っ込んでそのまま忘れてしまったのだ。
「ねぇ……」
結人がスマホを手にしたところで同じクラスとは言え、ほとんど話すことのない一美が声を掛けてきた。
「えっ?」
必要以上に大きな声が出てしまった事に結人は驚きつつも平静を装うべく一美に聞き返した。
「何?」
「ねぇ?気付いてるんでしょ?」
「何が?」
結人は心臓が急激に動き出したことに動揺しつつもなるべく普段と変わらぬトーンで再度聞き返した。
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