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翌日も見渡す限りの青空で、
オーシャンビューの窓からは
テニアンブルーの美しい海が見えた。
乾季の今は観光のベストシーズンと言える
札幌では氷点下の日が続き、
雪が降れば除雪に明け暮れる季節。
そんな時期に例え数日でも
この明るい太陽の下で過ごせるのは
とても贅沢な気分だ。
朝食を済ませて、私と圭ちゃんはホテルを出た。
周囲を見回してみる。
「あの子、いないね。」
「うん。」と圭ちゃんが頷く。
もう諦めちゃったのかな?
そう思うと、少年が何を伝えたかったのか
余計に気になってくる。
「あ・・・。」
圭ちゃんがふと立ち止まる。
その視線の先に少年はいた。
ホテルから100m程離れた曲がり角、
真っ赤に燃える炎のような
フレイムツリーの下に。
最初は少し躊躇っているようだったが、
やがて意を決したようにこちらへ駆けてくる。
「一度、あの子を連れてホテルに戻ろう。」
圭ちゃんの言葉に私は頷いた。
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