第2章 南の島へ

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圭ちゃんが申し訳なさそうに 「Sorry.」とチューロに謝る。 チューロは何のことかわからず、 ウナイの顔を見た。 ウナイが説明をしてやる。 「No problem.」 ようやく話が見えたのか、 チューロは無邪気に言った。 ウナイが話を続けた。 「私は考えました。 手紙を書ければよかったのですが 残念ながら私は日本の文字を 書くことができません。 だからチューロにショウイチロウの家族の 名前を教えました。 ショウイチロウに関わる人なら きっとわかってくれるはずだと思いました。 そしてようやくあなた達に会えた。」 「ありがとう・・・ございます。」 私は嗚咽を漏らした。 この遠い南の島でも、ずっと祖父のことを 思ってくれていた人がいる。 とても嬉しく、とてもありがたい。 ウナイは小さく首を振った。 「お礼を言うのは私の方です。 あなた達がここへ来てくれたお陰で、 私はいつ天に召されてもショウイチロウに 胸を張って会えます。本当にありがとう。」 ウナイは再び窓の外の澄み渡る青空を見やった。 「きっとショウイチロウの強い思いが、 私とあなた達を巡り合わせてくれたのでしょう。」
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