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「ええ・・・。」
私は涙を拭き、言葉を続けた。
「ウナイさん。祖父が最期にいた場所を
教えて頂けませんか?」
「最期の場所を?」
私はバックから祖母の形見の布袋を出し、
真珠の帯締めをウナイに見せた。
「これは祖父が祖母に贈った物です。
祖母はこの贈り物を肌身離さず
大切にしていました。
自分の幸せの詰まった宝物だと言って。
あいにく祖母は少し前に亡くなり、
私が形見として受け継ぎました。
私は祖母の気持ちを祖父に届けたくて、
この島に来たんです。」
「そう言う事なら喜んでお教えします。
しかしあなた達だけでは大変でしょうから、
チューロに案内させましょう。」
ウナイはチューロに詳細を話してくれた。
「OK!」
チューロはベッドからピョンと飛び降りた。
「それからもうひとつお願いです。
ウナイさんの写真を撮らせて貰えますか?」
私の頼み事に、ウナイは驚きの表情で尋ねた。
「写真?私のですか?」
「はい。ナオヤは私の父、サチヨは私の叔母です。
祖父の形見をずっと守ってくれた人を、
2人に見せたいんです。」
「それは嬉しいのですが、
写真にはあまり慣れてなくて・・・。」
圭ちゃんがデジタルカメラを取り出した。
困惑するウナイをファインダーに捕えながら
めちゃくちゃな英語で言う。
「チューロ。Please.with grandfather.」
言いたいことはどうにか伝わったようで、
チューロはウナイの隣に並んだ。
「three,two,one,smile!」
シャッター音がして、圭ちゃんが
はにかんだウナイとチューロを
フィルムに収めてくれた。
「ウナイさん、今日はあなたに
お会いできて本当によかったです。
どうぞお体を大切にして下さいね。」
私はウナイと握手をした。
「ありがとう。あなた達の幸運と幸せを
祈ってます。気をつけて。」
圭ちゃんもウナイと握手をして、
私達は深々と頭を下げて病室を出た。
「よかったな。」
「・・・うん。」
圭ちゃんと笑顔を交わし、
前を歩くチューロの背中を追った。
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