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筒井優美(42)
コンビニの若い女と夫の関係を優美は知っていた。
ずっと昔から。
自宅で逢瀬を重ねている事も、それが昼間であることも突き止めた。
更に息子があの女に好意を寄せていることも知っていた。
あとは仕上げだ。
旅行に行くと夫に伝え、大学生の息子に空港まで送らせた。
ちょうど息子が自宅に帰る頃には、鉢合わせるだろう。念の為に昼のドラマの録画を息子にお願いした。
あの人は息子が休講なんて知らない筈だ。
家族に興味なんてないから。
これからの展開を想像すると顔がにやけてくる。
優美は携帯電話の電源を切った。
「遠くでゆっくり羽を伸ばそう」
夫も息子も要らない。
優美は晴れ晴れした表情で、搭乗ゲートをくぐった。
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