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その部屋は薄暗く、ただ四方を一枚のドアとコンクリートの壁が囲んでいた。天井中央に吊るされている小さなライトの光を浴びていたのは、真っ白なベッドに眠る白い顔の中年女性。そして、椅子に座りむせび泣く白衣を着た白髪頭の中年男性。
『博士』
ドアが開いた音の後、無機質な声がすると、白銀の物体が暗闇の中から浮かび上がった。
『ご遺体は既に死後硬直が解かれ腐敗が始まっております。速やかに処理される事を勧告いたします』
その感情の込もっていない合成音声の主に、中年男性は真っ赤に充血した目をキッと向けた。
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