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「ぐっ、ぐぐぐ……うぐぐっ……
ここは、一体……」
「気付いたか、エヴァン君」
頭には白い包帯を巻き、病衣を着ているエヴァン。
どうやらここはカルベロッカの同盟国である国のバルトス将軍の敷地内の地下の病室であり、エヴァンは意識を失っている間ここに連れ込まれたのだ。
バルトス将軍はエヴァンより年が一つ上。そして軍人でこの国の総指揮官であり、頭も良く、特にまだ若いのに決断力に長ける。
エヴァンが近頃世界各国が集まる首脳会議に出席せず不信を抱き何事だろうと思っていた矢先、この時バルトス将軍はカルベロッカに密かに使者を送った。
が、その者達はカルベロッカで行方不明になり、
(おそらく吸血鬼化したカルベロッカの住人が襲いかかり餌か、吸血鬼の仲間入りになったのだろうか)バルトス将軍はこの時思いきって自分の国から兵を出し、音信不通になってるカルベロッカにそのまま乗り込んだ。
そしてその中の一人の兵士が城の中で仮面を被った魔族がいるとの情報が入り、人が皆、吸血鬼化しているのはこいつが原因だろうと睨み、そのままその魔族を連れ出し生け捕りにしようとした。
が、ハーバーはいなかった。
人間達がこの国に乗り込んだのに気づき先に姿を消したのだろう。
城はもぬけの殻となり、 王室には誰もいないガランとした薄暗い静かな部屋と化していた。
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