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 だから今、やっと自分の恋愛がマイノリティであると気付いた。  初恋は実らないって、誰が言い出したんだろうか。  僕は今初恋を知ったけど、実らないのは明白で。  だって、あきらかに男の僕が恋愛をして良い対象じゃない。  彼だって、戸惑うだけだ。  男性同士や女性同士に、最近は寛容に成って来たとかも聞くけど。他の国では同性結婚も出来るとか、聞いたけど。  日本の今の社会じゃ、どうしたって少ないだろうし。今の日本は、同性の結婚なんか出来ない。  だから僕は、彼が骨董を見に来てくれるだけで良いんだ。 ※  俺は村越(むらこし)(ゆう)という。  俺の家系が、霊能者の家系だと知ったのは、高校に入ってすぐだった。  心霊現象相談事務所。変わった名の事務所に勤務している。  そう、俺の霊能力を活かして、生活しているのだ。  大学には行かなかった。  早くに亡くなった母と父。俺を拾ってくれたのは、その事務所の人たちだった。  ちょっと語弊が有るかもしれない。ただ、母の産まれた街に戻るべく、高校はその街にしたんだ。そこで出会えた仲間たち。  高校から事務所には居たけれど、何も出来なかった悔しさを味わった。  だから大学へ行って勉強するより、自分の力を磨く方に、重きを置いた。     
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