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「おい、キュット。
大丈夫か?」
「う……ん?」
おでこが冷たい。
頭の下が柔らかい。
私はバウクの声で気が付いた。
「え?
ええ?」
リンさんの顔を見上げている私。
起きあがろうとすると、バウクに押さえられた。
「もう少し休んでいた方がいい。」
リンさんが膝枕をしてくれている。
私のおでこには、濡れタオルが乗せてあった。
一体なぜこんな状況に?
私は記憶をたどっていった。
まだ朝霧のかかる森。
金の核が山から姿をのぞかせようとしている頃、私たちは長老様の屋敷を出発した。
朝早いにも関わらず、集落のほぼ全員が見送りに来ていた。
私たちは意気揚々と旅の一歩を踏み出したのだった。
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