第1章 初めての旅

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  私は初めて集落のある森を出た。 ドキドキしながら周りを見渡すと、プロローグの集落のあった森は小高い丘の上だった。 森を抜け丘へと出た私は始めてみる景色に心を奪われたの。 眼下に広がる草原、先にそびえ立つ山々。 言葉に出来ない感動を噛み締めていたの。 まさにその美しさに吸い込まれていく。 そんな時だった。 バウクの声が聞こえたのは。 「キュット!」 私の名前が叫ばれた。 私が振り返ると、右足の地面がなかった。 皆が傾く。 バウクが駆け寄って手を伸ばして来たけど、その手に捕まることは出来なかった。 その後感じた浮遊感。 私は意識を手放したのだった。 ……で、気が付けばこの状況。 「ったくよ。 兎のくせにトロいんだよキュットは。」 バウクはプンプンしながらも、額のタオルを替えてくれる。 「私、トロくないよ。」 一応反論を試みた。 「だったら何で、崖から落ちるんだよ! ちゃんと足下ぐらい見とけ!」 仰る通りで。 私崖から落ちたんだ。
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