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私は初めて集落のある森を出た。
ドキドキしながら周りを見渡すと、プロローグの集落のあった森は小高い丘の上だった。
森を抜け丘へと出た私は始めてみる景色に心を奪われたの。
眼下に広がる草原、先にそびえ立つ山々。
言葉に出来ない感動を噛み締めていたの。
まさにその美しさに吸い込まれていく。
そんな時だった。
バウクの声が聞こえたのは。
「キュット!」
私の名前が叫ばれた。
私が振り返ると、右足の地面がなかった。
皆が傾く。
バウクが駆け寄って手を伸ばして来たけど、その手に捕まることは出来なかった。
その後感じた浮遊感。
私は意識を手放したのだった。
……で、気が付けばこの状況。
「ったくよ。
兎のくせにトロいんだよキュットは。」
バウクはプンプンしながらも、額のタオルを替えてくれる。
「私、トロくないよ。」
一応反論を試みた。
「だったら何で、崖から落ちるんだよ!
ちゃんと足下ぐらい見とけ!」
仰る通りで。
私崖から落ちたんだ。
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