第1章 初めての旅

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  頭を少し横に傾けると、さっきまで居た丘の上がみえる。 高さにして10m位か、我ながらよく無事だったな。 自分でも感心してしまう。 「お、意識は戻ったな。 気分はどうだ?」 鬼教官が私をのぞき込む。 「だ……大丈夫です。」 私は上半身を起こした。 左足に激痛が走る。 「痛い!」 思わず足を押さえた。 「どれ、見せて見ろ。」 左足の足首を押したりさすったりする鬼教官。 「捻挫だな。 しかしこの高さから落ちて捻挫で済むとは、運がいいな。」 妙なところで感心する鬼教官。 「意識が戻ったんなら、治癒魔法使えるな。 早いとこ治しておけ。 すぐに出発するぞ。」 鬼教官の言葉に杖を差し出すバウク。 「ありがとう。」 「早く治せよな。」 「うん。」 私は座ったまま杖を目の前に掲げた。 銀をイメージして、徐々に木が成長するイメージを思い描く。 すると杖から少しずつ暖かいモノが流れ込んでくるのがわかった。 暖かいモノが全身を包み込む。 足の痛みもだんだんと薄れていきついには痛みが消えた。 私はゆっくり目を開けた。 まだ銀の力が体を包み込んでいた。
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