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「リン、何か見えるか?」
鬼教官が、パウの背中に乗っているリンさんに訪ねた。
「いえ、何も。」
リンさんは、高い位置から周りの警戒をしてくれている。
「気をつけておけよ。
未だ集落からそんなに離れてはいないから大丈夫とは思うが、ならず者たちが旅人を襲うことは珍しくないからな。」
「それって、山賊の事ですか?」
バウクがすかさず鬼教官に聞く。
「ここは山じゃないから、山賊とは言わんが……まぁ、そんな連中だ。」
あっけらかんと答える鬼教官。
山賊って言えば、無慈悲なならず者たちだよね。
私たちが遭遇したらひとたまりもないよ。
私は背中に冷たいモノが走るのを感じた。
「もう少し先に小川があるはずだ。
今日はそこでキャンプを張る。
みんな良いな?」
「はい。」
鬼教官に逆らえば、特訓と称して酷い目に遭う。
ここはおとなしく従った方が良い。
私は心の中で呟いていた。
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