第1章 初めての旅

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  「リン、何か見えるか?」 鬼教官が、パウの背中に乗っているリンさんに訪ねた。 「いえ、何も。」 リンさんは、高い位置から周りの警戒をしてくれている。 「気をつけておけよ。 未だ集落からそんなに離れてはいないから大丈夫とは思うが、ならず者たちが旅人を襲うことは珍しくないからな。」 「それって、山賊の事ですか?」 バウクがすかさず鬼教官に聞く。 「ここは山じゃないから、山賊とは言わんが……まぁ、そんな連中だ。」 あっけらかんと答える鬼教官。 山賊って言えば、無慈悲なならず者たちだよね。 私たちが遭遇したらひとたまりもないよ。 私は背中に冷たいモノが走るのを感じた。 「もう少し先に小川があるはずだ。 今日はそこでキャンプを張る。 みんな良いな?」 「はい。」 鬼教官に逆らえば、特訓と称して酷い目に遭う。 ここはおとなしく従った方が良い。 私は心の中で呟いていた。
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