第1章 初めての旅

7/11
前へ
/39ページ
次へ
  鬼教官の言うとおり、小川は在った。 ただし“少し“の定義が私の感覚よりかなりズレている。 徒歩で5時間の距離を“少し“とは言わない。 私はじんわりとにじみ出てくる汗を拭いながら、お気に入りのリュックを降ろした。 バウクとパウは、着いたとたん川の水を飲んでいた。 「よーし、じゃキャンプの用意だ。 テントを張るぞ。」 鬼教官は元気だった。 「ザック教官。 少し休ませてください。」 弱音を吐いたのはバウクだった。 確かに集落を出発してから歩き通しだもんね。 私もうんうんと、頷いた。 「お前たちな~。 これも訓練のうちだ。 ほら動け。」 鬼教官はバウクの意見を却下した。 しかたなく私たちはパウの背中から荷物を降ろす。 先ずはテント張り。 2人用のテントが2つだ。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加