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「ああ、俺? 俺は特別だから、合唱部顧問の藤原先生も許してくれている。もちろん、部員も俺のすることは納得済みだ」
あの音楽教師・藤原が絡んでいるのか。
「はあ? お前、ナニ様?!」
「んーっと……『部長様』かな? 一応の肩書きは」
「いやいやいや、ないっしょ。そんな特権。部長にだって、そんな特権あるわけない」
「それがあるんだな、俺には。ま、部活に来てみろよ」
と言われたので、俺は
「やだよ」
そう、すかさず断わったのに、響の奴
「まあ、そう言うな」
と全く聞く耳持たず。
強引に合唱部の部活の場でもある音楽室に連れて行った。
-2-
そこはなんとも神々しい場所だった。
四時間目、確かに俺はそこにいたし、なんてことない見慣れた音楽室の筈だった。
だのに、響がドアを開けたその場所は、合唱部員達の出す声で美しく彩られたかのような……そんなまばゆいような輝いているような錯覚を覚えた。
そこにいる面子は大所帯で、五十人近く居たのではないだろうか。
しかも合唱を部活で選ぶのは女子だけかと思ったら、半数近く、二十人くらいは男子部員だった。
その意外さに驚く俺に
「俺様の人徳だよ」
響はにやりと笑って言った。
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