目覚める。

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当初特急で来ることも考えた彼女であったが、時間を掛け過ぎず掛けな過ぎずの条件を一度に満たす急行電車を選んでいる。 彼女にとってこの日はせっかくの休日。 時間が掛かり過ぎるのは困るが、かといって掛からな過ぎるのも考えものなのだ。 やがて彼女は、ホームの難波側先端に向かう。 特急に乗るほど急いでいる訳ではないから、みさき公園に直行するのは何だかもったいない… ふと、そんな気がしたのである。 やがてそんな彼女の思いに応えるかの如く、難波方面からグレーに塗装された車体に青い線と黄橙色の線とをあしらった電車がやって来る。 すると彼女は 「残念… さっき降りた電車も今来た普通 (南海本線の普通列車を表す列車種別。 高野線の場合は各停となる)も、リバイバル塗装じゃなかったわね」 …と、少し残念そうに笑うのであった。 みさき公園駅に降り立った目的といい今の言葉といい、彼女が所謂鉄子ちゃんなのは最早疑いようがない。 因みに彼女、鉄道ファンや鉄子や鉄ちゃんと呼ばれるのは嬉しいのだが、鉄道マニアと呼ばれる事だけは非常に嫌っている。
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