目覚める。

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「い、いいから意地悪しないでさっさとどけよオバサン! そんなんじゃ誰も貰ってくれないぞブス! 駅はお前だけのもんじゃないんだぞブス!」 相当甘やかされてワガママ放題に育てられたのだろう。 少年は我が通らぬと覚るや、新聞記者が使うような三脚付きのカメラとステッカーだらけのフィルムバッグを盾にして、強行突破を図ろうとする。 しかし彼女も負けていない。 少年から三脚付きのカメラをストラップもろとも素早く奪い取ると、ホーム先端の柵にそっと立て掛けるのであった。 そして右足を軽く上げ、三脚の真ん中に狙いを定めつつ口を開く。 ニヤリと不敵に笑いながら。 「余計な御世話よ。 何よ人の事ブスブスブスって… そっちがその気なら私にも考えがあるわよ。 …三脚蹴り倒してあげようか?」 今度は凄味ある笑いを浮かべながら彼女。 女性への禁句を面と向かって3回も言われれば、彼女がこのような手段に訴えるのも無理はない。 しかし少年は、ますます利己心に駆られ自分勝手な言い分を並べ立てるのであった。
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