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背中に触れる手が、かすかに震えていた。
「正直に言ったら、今の橘の邪魔になると思ったから・・・」
「・・・瀬戸」
「7年前と変わってないの、俺だけだから」
「・・・だからって、バレバレな嘘つくなよ」
「ごめ―――」
謝ろうとした瀬戸の唇を、ぺろっと舐める。
そのまま、舌を進入させた。
「んっ、俺も・・・ワンナイトなんとかに・・・、する、つもりだったのに・・・」
「んあ・・・んふ、っ」
「お前が可愛いこと、ふ・・・っ、するから・・・、押さえられなくなっただろ」
「んん・・・っ、んあ・・・」
本当に、可笑しい。
現実を見て昨日のことをなかったことに、とか・・・
お互いに、同じことをしようとするなんて。
キスしたままゆっくりと、瀬戸の身体を倒していく。
布団に沈むのを見計らって、覆いかぶさった。
「・・・・・・たち、ばな」
「・・・ばーか、期待すんなよ。動けない状態のやつに手、出せるわけないだろ」
「・・・・・・」
「今日は一日、そばにいて面倒見てやるから。黙って寝てろ」
「う・・・うん」
わずかに、瀬戸が笑みを零した。
わかってる。
ずっとここにいるわけにはいかない。
現実に戻らなければいけない。
だからこそ、必死に抗いたかった。
無意味な抵抗を、していたかったんだ。
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