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あれは星の綺麗な夜だった
珍しく夜空を眺めていた時
1つの流れ星が闇を切り裂くように一筋の線を描いた
生まれて初めて見た流れ星はとても綺麗で何か素敵な事が起きるような気持ちにさせた
少しの間そんな気持ちに浸りもう一度流れ星が空から降ってこないかなと待っていると
突然背後から澄んだ鈴のようなかすかな声が聞こえた
「あなた……あ…こ……すく…………しい……」
その声は途切れ途切れにしか聞き取ることができず思わず振り返り
「今、何て言った?」
と聞き返した
そして振り返った先にいた人物を見て俺は息を飲んだ……
その人物は女とも男とも言えない不思議な雰囲気で星の淡い光を体にまとったように暗闇に光輝いていた
髪は白銀で星の光を淡く反射させ瞳は飲み込まれそうな濃い青い色をしていた
その姿に見とれているとその人物は口を開き
「あなたにあの子を救って欲しい……」
先ほど聞き取れなかった言葉がはっきりと聞こえた
「あの子って……?君は誰なんだ?」
かろうじて口から出てきたのはこの言葉
その言葉を聞いた人物は何も言わず俺に少しずつ近づいてくる
後退りしたくても体は微動だにせず距離は縮まっていく……
そして目の前に来たその人はゆっくり手を俺の頬へと伸ばす
優しく触れた時
小さくーチリンーと鈴のような音がした
そしてその人は口を開きー
「君ならあの子を救えるはず……
どうか……どうかあの子を……
ーー死なせないでーー」
そう言ったその人の瞳から一滴の涙がこぼれ落ちた……
それは先ほど見た流れ星のように美しく儚い涙だった……
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