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「堀江先生、俺、間違っていました」
「な、なにが、ですか?」
「あなたは昔も今も・・・・・・俺の、憧れの人だ」
柔らかい唇が、手の甲に触れる。
藤原の頭を見下ろす。
この光景が、
『・・・ありがとうございます、堀江先生』
あのときの光景と一瞬、相似して見えた。
「俺は、堀江先生が変わってしまったと思っていた。
でもあなたは、昔のあなたと変わっていなかったんです」
「・・・そんなことありません」
「あります。生徒が呼べば勉強を教えに行って、生徒の作ったクッキーを食べて。
あなたは接し方は違えど、今も昔も生徒のことを第一に考えている」
握られた手が、今度は藤原の頬に触れる。
「俺はあなたを壊さない。元に戻しもしない。
俺の手で、あなたのいろいろな顔を・・・引き出しますから。だから」
藤原が上目遣いで見る。
しかしその目は、上目遣いと言っていいほど可愛らしいものではなかった。
はじめに俺を強姦したときに見せた、
獣のような・・・射るようなまなざし。
「堀江先生。
あなたに、憧れ続けてもいいですか?あなたを抱いてもいいですか?」
あなたを・・・・・・愛してもいいですか?」
・・・こいつは、ずるい。
下手にでるような口調と態度。
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