愛して、先生

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少し動いただけで、すぐに息が切れる。 背中に触れているシーツが、ほんのり湿っていた。 体力を温存するために、無駄な動きは避けた方がよいのか。 しかし、動かなければ身体は自由にならない。 八方塞がりか。 そのとき、 薄暗かった部屋が、一瞬にして明るくなる。 そして、部屋のドアが開いた。 入室したのは、見知った男。 「おはようございます。堀江先生」 「ふ、藤原先生・・・」 藤原先生はいつものスーツ姿ではなく、 シャツにパンツといった、ラフな姿だった。 そして俺を見て、にこやかに笑う。 その瞬間、俺はすべてを悟った。 この状況を作り出しているのが、藤原先生だということを。 「・・・腕を、解いていただけませんか」 「すみません。それはできないんですよ」 「何故?」 「だって解いたら、堀江先生・・・暴れるでしょ」 「もちろん」 「じゃあやっぱダメです。薬が効いているとはいえ、暴れられたら勝ち目ないですもん」 暴れる? 薬? この男は、何を言ってるんだ。 「わかるように説明していただけますか」 「百聞は一見に如かず。自分の下半身見てみてくださいよ」 「・・・っっ!」 言われた場所に目線を向けると、 それは意に反して、反り返っていた。 「な、ぜ・・・」     
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