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僕の名前は綾小路周平。22歳。
普通に教育大学を卒業して教師となった、他の教師達と何ら変わらない普通の国語担当教師だ。
自分でも中々に平凡な人生を送っているなぁとは思っていたが、別に今までの生活に対しての不満は全く無かった。
理由は多くあるが、世の中に恵まれない人達が沢山いる中で、平凡な自分は恵まれている方だと理解していた事が一番だろう。
平凡は平凡でも幸せな事には相違無いと思っていたのだ。
しかし今日からそんな僕の平凡幸せライフが崩れそうだなと、やや鬱な気持ちになりながら僕は学園を見上げた。
私立藍染学園…噂には聞いていたが、やはりおぞましい雰囲気のある中学校だ。
初めて配属される中学が藍染学園とは、内部の人間には申し訳無いが本当に運が悪い。
「えっと綾小路さんは…1年生の国語担当に兼ねて1年1組の担任も務めて頂きます」
嘉川さんが手にした黒いボードを見詰めながら言うので、僕は一抹の不安を覚えて思わず「えっ」と声を上げた。
「担任って一人だけですか」
「あぁ、いえいえ。新任指導員の石河も付きますよ」
「お一人じゃ不安でしょう」と言って笑う嘉川さんが、手に持っていた黒いボードを僕に手渡してくれた。
確かに新任一人でクラスを仕切るのは少し心配だ。
その石河という人がいてくれるだけでもかなり心強いだろう。
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