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｢これが1年1組の生徒名簿で、これが今日の始業式の流れですから軽く目を通しておいて下さい｣
簡単な説明の後に｢まぁ具体的な事は石河から訊けば分かると思うんですが｣と言う嘉川さんの顔が次第に曇って行く。
まるで幸先が不安かの様な嘉川さんの態度に、僕は再度不安を感じて｢どうか為さったんですか｣と恐る恐る尋ねた。
｢いやぁ…実は少し石河の性格が扱いづらくてですね｣
｢まぁ詳しい話は歩きながらしましょうか｣と嘉川さんが気を取り直したかの様な明るい声で言って歩き出す。
学園内に入って行く嘉川さんの後を慌てて追いながら、僕は彼にその石河という人物の事を詳しく問いただした。
｢石河さんの性格って…？｣
｢何て言うか…無口だからか分からないですけれど近寄り難いと言いますか｣
平行しながら歩く僕を横目に見ながら嘉川さんは苦笑いをする。
その苦笑いが何を意味したのかは、鈍感だと自負している僕にでさえも安易に想像出来た。
｢親しくは出来ないんでしょうか｣
同じクラスの担任になる身としては、なるべく石河という人間とは仲良くしておきたいのだが。
嘉川さんはやや不思議そうな顔をした後に｢いえ、そういう訳でも無いみたいですよ｣と僕の言葉を否定した。
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