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「だぁかぁらぁ~、お願いって言ってんじゃん!」
「だから、俺は嫌だっつってんだろ!」
午前10時、人が多く通行する時間帯である、ここジュスティ大学の正門には、言い争う二人の男女の姿があった。
片方の男性はミルクベージュの前下がりに長いワンレンのストレートヘアを振り乱しながら、もう片方の女性はエメラルドベージュのロングヘアを二つの縄編みにし、輪っかにまとめた髪を揺らしながら激論を繰り広げていた。
「キキョウが言ってたの!この間の文化祭の演奏ステージの進行、突然任されたくせに平然とこなしてたらしいじゃん!ね!君には文化的才能があるんだよ!私たちとイベントの企画しようよ!」
―――エメラルドベージュの特徴的な髪型の女性、エーデルワイス。通称、エーデ。
21歳。ジュスティ大学の大学生。文化学を専攻。
科学が発展し、魔法が当たり前になったこのご時世において、わざわざ人を集めて行う「イベント」の企画運営に情熱をかける。
短所は―――自分の思っていることを、つい言ってしまう事。
「任された”くせ”にってなんだよ!お前が眠りこけて、仕事押し付けてきたからやってやったんだろーが!あんな状況じゃなきゃ、やらねーよ、あんなこと!」
―――ミルクベージュの中性的な顔立ちの男性、ウツギ。
21歳。ジュスティ大学の大学生。魔法科学を専攻。
この度、先日文化祭において危機的状況にあったエーデを助け出した末に、突然頼まれたステージ進行業務を難なく遂行してしまったおかげで、エーデにスカウトに遭っている。
短所は―――度を超したマイペース。
「俺は時間ねーんだ!ぜってーやんねー!」
「そういいながら、ウツギくん、授業サボっていつも中庭で寝てるらしいじゃん」
「うっ、どこからそんな情報仕入れてくんだよ!」
「スカウトの為に近辺情報集めまくりました!」
「おーまーえーなー!」
ずいっとウツギがエーデに顔を近づける。
ち、近い―――。ふいに近づいてきたことと、目鼻立ちの整ったその顔立ちに少しどきっとしてしまう。それに、ふわっと、男性とは思えないような、何だかいい香りがする。
―――ん?何だろう、この違和感。
ふと胸にもやっとしたものが広がった。何だろうこれは―――…
「おい!聞いてんのか!?」
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