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現代人はストレスという地雷を胸に抱えて生きている。もしうっかり踏んでしまえば、たちまち爆発してしまうのだ。ほんの些細なことですらも……。
自動ドアが開き、ピロロン♪ ピロロン♪ とメロディが鳴り渡る。と同時に、店員の青年が条件反射よろしく声を張った。
「しゃしゃいませー!」
舌ったらずな発音が店内に響く。立ち読みをしていた少年が思わず笑う。すでにいる客の姿は他に見当たらなかった。
休日の昼すぎ。コンビニの客は意外と少ない。真夏となればなおさらだ。
入ってきた客の老人は青年の姿を見つけるなり、眉を逆ハの字にし、肩を怒らせながら歩み寄ってきた。
「おい、兄ちゃん。どういうことじゃ!」
レジカウンターを思いっきり叩き、老人は青年につかみかからんばかりに怒声を飛ばした。
「え、え、あ、はい。え?」
突然のことに青年はあわてふためき、目を白黒させる。
「わしの顔、覚えとらんか?」
そう言われ、青年は老人の顔をまじまじと見た。
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