見せろ! 誠意! 謝罪戦士ゴメンナー

6/9
前へ
/9ページ
次へ
 ポチッとな。男はラジカセのスイッチを押し、ウホンと咳払いを一つし、大きく息を吸った。 「では、答えて進ぜよう! この世にトラブルあれど、謝罪なし。怒りが残り、天地が騒ぐ。だれが呼んだか解決の使者。ラジカセ片手に今日も街行く人に代わり、お詫びする。謝罪戦士ゴメンナー。ここに見参!!」  無駄に長い口上を終え、ゴメンナーはドヤ顔を決める。ぶん殴りたい衝動に駆られる顔であった。 「で、ゴメンナーさんとやら。なに用かな? 見てのとおり、わしらは今とりこんでおるじゃが」  迷惑そうな口調で老人は告げ、青年のほうをチラと見る。 「あんたの知りあいかなんかか?」 「違いますよ!」  青年はオーバー気味にかぶりを振る。あんな変態が知りあいだなんて冗談じゃない。 「ふむ。本当か?」  訝しがる老人にゴメンナーがすかさず割りこんだ。 「案ずるな、ご老人。その店員とは、まったくの無関係だ。俺はただ謝りにきただけだ」
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加