見せろ! 誠意! 謝罪戦士ゴメンナー

8/9
前へ
/9ページ
次へ
「見ろ! この誠意!!」  ツッコミの余地がない、美しい土下座に青年は言葉を失い、釘づけになった。  一方で、老人にはその美しさは届かなかったようだ。ますます激昂し、ゴメンナーを怒鳴りつけた。 「バカモーン!! 軽々しく土下座なんかしおって。この恥さらしもんが。土下座すれば誠意を示したことになると思っておるのか」  ゴメンナーは無言で立ちあがると、老人に背を向けた。  とうとうキレてしまったか? 青年はごくりと唾をのむ。のどが渇く。頼むから乱闘はやめてくれ。青年は背中に冷や汗を浮かばせながら祈った。  結果として、青年の心配は杞憂に終わった。 「ならば見せてやろう。もう一つの誠意ある謝罪を!」  咆哮とともにゴメンナーは勢いをつけ、床に手をつき、足で床を蹴りあげた。  それは逆立ちだった。紛れもなく逆立ちだった。どこからどう見ても逆立ちだった。  これぞゴメンナーのもう一つの必殺技・誠意ある逆立ち(ロイヤルティハンドスタンド)である。  こんな逆立ちのどこに誠意があるのか。まったくもって理解できなかったが、青年はゴメンナーのある変化に気づき、驚嘆の声を発した。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加