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「見ろ! この誠意!!」
ツッコミの余地がない、美しい土下座に青年は言葉を失い、釘づけになった。
一方で、老人にはその美しさは届かなかったようだ。ますます激昂し、ゴメンナーを怒鳴りつけた。
「バカモーン!! 軽々しく土下座なんかしおって。この恥さらしもんが。土下座すれば誠意を示したことになると思っておるのか」
ゴメンナーは無言で立ちあがると、老人に背を向けた。
とうとうキレてしまったか? 青年はごくりと唾をのむ。のどが渇く。頼むから乱闘はやめてくれ。青年は背中に冷や汗を浮かばせながら祈った。
結果として、青年の心配は杞憂に終わった。
「ならば見せてやろう。もう一つの誠意ある謝罪を!」
咆哮とともにゴメンナーは勢いをつけ、床に手をつき、足で床を蹴りあげた。
それは逆立ちだった。紛れもなく逆立ちだった。どこからどう見ても逆立ちだった。
これぞゴメンナーのもう一つの必殺技・誠意ある逆立ちである。
こんな逆立ちのどこに誠意があるのか。まったくもって理解できなかったが、青年はゴメンナーのある変化に気づき、驚嘆の声を発した。
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