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「あっ、ゴメンナサイ、このケーキ買うんでよね」
「・・・・・・」
「僕ならいいですよ、バナナ味にしますし」
「・・・・いえ、結構です」
消え入るような声、ちょっと影はあるけど、まぁ可愛い
「そんな、遠慮しなくていいですよ」
あっ居なくなった、
まぁ、隣の棚に移動したのかな、まぁいいか…
レジではポイントカードで決済した。
あっ、さっきの女性、
僕の後ろに立ってる、
まだ、バームクーヘン見てる、
「あっ、さっきはどうも、バームクーヘン、まだ、封切ってませんから、いいですよ、どうぞ差し上げます」
「・・・・ご親切ありがとうございます、でも結構です」
「ああ、そうですか」
愛想笑いを返すのが精いっぱいだった。
これからテント張った後で夕食の支度なんてメンドクサイ。コンビニのイートインで済ませることにした。
なんで、こんな寂しい所にコンビニがあるんだろう?
観光道路だから昼間は車の往来が多いのかなと一人納得していた。
外は暗闇、ガラス窓は鏡のよう、僕の顔がはっきり映っていた。
あっ、また、さっきの女性、イートインでカフェラテ飲んでる。
「イチゴ味どうぞ、僕はバナナ味食べますから」
「ありがとう、ご親切に」
彼女はようやっとバームクーヘンに手を伸ばした。
小さな親切、大きな下心
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