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「女の子が一人でイートインで食べていたら、やっぱり変ですよね」
ようやっと、彼女の方から話かけてきた。
「いえいえ、そんな事は無いですよ、僕のプロジェクトチームの女性の部下なんかはガンガン食べてますよ」
勿論、部下などいない、部下を持てるほどの人徳なんてもんは全く無い、
要は、彼女にええかっこを見せたいだけ、
「リーダーさんなんですね、お若いから学生さんかと思ってました」
「いや~管理職のポジションは、僕は遠慮したのですが、周囲がどうしてもと言うので断り切れなかったんです。いや、女性の部下の仕事以外の悩みなんかも聞かなければならないんで、いや~リーダは大変です」
勿論、これも嘘、彼女の気を引くため、
実際は幼稚園から大学まで、班長、級長、委員長、書記長…“長”のつくモノにはまったく縁が無かった、ノリで立候補したこともあったが全て落選した。
「若そうに見えるのに、実は頼りになる方なんですね」
おっ、身を乗り出してきた、
脈あるかな、LineかFacebookのアドレスぐらいは交換できるかな、
「ところで、バームクーヘンお好きなんですか?」
「・・・・・・」
しばらく沈黙が続いて、消え入るような声で語りはじめた
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