樹海の中のコンビニで店員をやっています。

4/17
前へ
/17ページ
次へ
「女の子が一人でイートインで食べていたら、やっぱり変ですよね」 ようやっと、彼女の方から話かけてきた。 「いえいえ、そんな事は無いですよ、僕のプロジェクトチームの女性の部下なんかはガンガン食べてますよ」 勿論、部下などいない、部下を持てるほどの人徳なんてもんは全く無い、 要は、彼女にええかっこを見せたいだけ、 「リーダーさんなんですね、お若いから学生さんかと思ってました」 「いや~管理職のポジションは、僕は遠慮したのですが、周囲がどうしてもと言うので断り切れなかったんです。いや、女性の部下の仕事以外の悩みなんかも聞かなければならないんで、いや~リーダは大変です」 勿論、これも嘘、彼女の気を引くため、 実際は幼稚園から大学まで、班長、級長、委員長、書記長…“長”のつくモノにはまったく縁が無かった、ノリで立候補したこともあったが全て落選した。 「若そうに見えるのに、実は頼りになる方なんですね」 おっ、身を乗り出してきた、 脈あるかな、LineかFacebookのアドレスぐらいは交換できるかな、 「ところで、バームクーヘンお好きなんですか?」 「・・・・・・」 しばらく沈黙が続いて、消え入るような声で語りはじめた     
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加